SXFとOCF検定について
電子納品に向けたCADの標準フォーマット「SXF」やオープンCADフォーマット評議会「OCF」とOCF検定に関するコラムです
[ 2006.3.17改訂 ]
SXFにおけるCADデータ交換
SXFは電子納品における納品フォーマットとしての位置づけが強いようですが、異なるCADにおけるデータ交換の精度は従来と比べると非常に高く、充分実用的です。その主な理由について幾つかあげてみます。 まずはSCADECによって開発されたSXF共通ライブラリの無償提供です。これによって開発者の負担を軽減する効果があるだけでなく、品質的にもより高いものが期待できるようになりました。しかし、これだけで高いデータ交換をおこなうには不十分であり、OPENDWGのライブラリを利用してDXFやDWGのデータ交換をおこなうのと変わりがありません。
SXFの仕様はSCADECで開発されJACICのCAD小委員会に引き継がれています。DXFやDWGはAutoCADのバージョンと共にアップされましたが、SXFは、各社のCADのバージョンアップとは関係なく、委員会で継続的に検討されています。これは公的なCADデータ標準としての交換仕様を定めるためには重要な意味を持ちます。
また、CADソフト開発者による仕様の解釈の違いはSXFの仕様においても同様に発生する可能性はあります。しかし、SCADECによって、多くのCADベンダが参加し、またOCF(オープンCADフォーマット評議会)に参加することによって、問題点に対して議論し知識を共有しあうことによって、仕様の解釈の違いなど開発者に委ねられた知識レベルを一定に引き上げることができました。これは従来、データ交換について各社が個別に対応し、そのノウハウを閉ざしていた時に比べ、CAD業界自体が大きく変わったといえるでしょう。そして、そのメリットは多くのユーザが受けることが出来るようになります。
それとOCF検定の位置づけも大きな役割を果たします。これによって、各CADの担当者がSXFを正しく理解し、間違いなく実装しているかどうかを検定するため、データ交換の精度を高めることが期待できますが、更に高めているのはOCFが定める基準であるといえます。
SXFの仕様書は、データの形式について記してありますが、描画の方法については決して充分とはいえません。OCFではCADに実装する上で不足していると思われる描画の方法などを中心に、SXFに沿って基準を定めました。このようにCADの業界団体として一定の基準を定め、それによって検定をおこなうということは、従来持っていた問題点を解決することになります。
それは、今までのDXFにおけるデータ交換は、各CADベンダが、それぞれの都合に合わせて交換できる対象範囲や方法を定めていたため、様々なデータが流出することになりました。例えばDXFには寸法線という要素がありますが、寸法線という専用の要素を持たないCADでは、そのデータを読み飛ばして変換しない場合もあるし、読込んだとしても線や文字に置き換えてしまう場合などがありました。
OCFの基準では、SXFの要素は、その構造も含め保持していなければならないので、寸法線は寸法線のまま受け渡すことが出来なければ検定に合格しません。そのため、今まで寸法線の構造を持たないCADは、寸法線の構造をCADに持たせる様にCADそのものを変える必要があるわけです。
DXFにもSXFにも寸法線という専用の要素はありますが、DXFを利用した場合は、その結果は様々ですが、OCF検定に合格したCADであれば、寸法線は寸法線として交換が可能だということです。これはCADデータフォーマットの優劣の問題ではなく、検定制度がもたらすメリットといえるでしょう。
このように、SXFを利用したデータ交換は高い精度を期待できるわけですが、フリーソフトなど、全てのCADが検定を受けている訳ではないので、異常なSXFデータが流出する可能性は充分あります。今後、電子納品が本格化し、SXFが広く一般に普及するようになると、新たな問題も出てくると思われます。
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