SXFとOCF検定について
電子納品に向けたCADの標準フォーマット「SXF」やオープンCADフォーマット評議会「OCF」とOCF検定に関するコラムです
[ 2006.3.17改訂 ]
SXFに対する自治体の対応
各地方自治体においてもCALS/ECへの整備が徐々に進み、電子納品要領に伴って策定されたCAD製図基準は、国土交通省の「CAD製図基準(案)」に基づき、交換フォーマットをSXF(P21)としている所があります。自治体の傾向としては「茨城県電子納品ガイドライン」【PDF】、「岐阜県電子納品運用ガイドライン」【PDF】のように、納品時においてもSXF(SFC)を採用する自治体が増えてきたことです。
SFCとP21は物理的なファイルフォーマットは違いますが、どちらもSXFのフォーマットとして論理的には同じであり、相互変換しても劣化することなく変換可能となっています。そのため、データファイル容量が少なく扱いが容易なSFCを納品フォーマットとして定め、国外企業が参入するような場合だけ国際標準であるP21形式での納品を特記仕様書によって対応しようとしています。この様に、国土交通省が策定した「CAD製図基準(案)」に沿った形で進めながらも、ガイドラインの策定においては実用的な選択をしていると言えるでしょう。
SXFに対する取り組み
SXFは元来、公共調達の為に策定された仕様であるといえるでしょう。そのため発注者である各省庁や地方整備局、地方自治体などが、CAD製図基準やガイドラインなどにSXFを盛込むことによって、CADデータ交換標準としてSXFの利用価値を高め、今後ますます普及していく事が予想されます。このSXFに対する取り組みは発注者だけでなく、幾つかの団体によって取り組まれ活動しています。
「設計製造情報化評議会(C-CADEC)」(URL:http://www.kensetsu-kikin.or.jp/c-cadec/)では、「CADデータ交換標準開発コンソーシアム(SCADEC)」が立ち上がった当初からSXFに対して取り組み、その後も継続してきました。平成15年8月には「SXFによるCADデータ交換を円滑に行うための留意事項」としてまとめ、その活動成果をホームページで公開するに至りました。
このようにSXFの動向を意識し、これに取り組んでいる団体と活動内容を幾つか紹介しましょう。
1. (社)土木学会 電子化基準策定小委員会
(URL:http://www.jsce.or.jp/committee/cceips/s11ekijun/menu1.html)
情報利用技術委員会の中に、電子化基準策定小委員会があります。ここでは、電子データを円滑に交換・活用する環境が整備するため、国内発注機関等で作成されている製図基準類と整合を図りつつ、図面を中心とした設計成果物の電子化に伴い必要となる「土木CAD製図基準」の策定をおこなっています。この基準の検討にあたってはSXFを意識したものとなっています。「土木CAD製図基準(案)通則編」では、データ交換標準に対する配慮として"本書に従って作成されるCADデータは「CADデータ交換標準仕様(SXF)に則り交換可能なものとする」"と記されています。随所にSXFを意識したCAD製図の手法が書かれています。
また、この活動成果として、道路、橋梁、都市施設(下水道管渠)のSFC形式のSXFファイルが土木CAD製図基準サンプル図面として公開されていています。
2. (社)日本土木工業協会 CALS/EC部会
(URL:http://cals.dokokyo.com/)
「CAD製図基準(案)」の施工者側の運用についてまとめた「CAD図面取り扱いガイドブック第2版」においてSXFについて分りやすく解説しています。また、「SXFセルフチェック仕様」は、SXF対応をうたうCADソフトが施工者側で本当に使えるかを、利用者が自分で確認する為に作られたものであり、チェック用にSFC形式の図面も公開されています。2006年2月現在では7社9ソフトがセルフチェックの結果を公表しています。
3. オープンCADフォーマット評議会(OCF)
(URL:http://www.ocf.or.jp/)
47社(2005年10月現在)が参加しているCADベンダの団体です。SXFにおける高いデータ交換性を保つため、2001年9月にSFC形式の実装についてOCF検定を開始しました。それから一年後にはP21形式の検定もおこないました。SXF対応するCADは増え続け、それに伴ない着実に会員数も増加して2003年6月には有限責任中間法人となりました。2006年2月現在ではVer.3が7社12ソフト、Ver.2が37社58ソフト検定に合格して認証を得ています。
OCF検定の他には、活動成果として「SXF変換を意識したCAD製図」を公開しています。これはSXFによるデータ変換を意識してCADを利用した製図をおこなう場合に、ユーザが注意して頂きたいこと、知っておきたいことを中心にSXF変換の実際をまとめたものです。
2003年10月には、「SXF技術者検定制度」の実施を発表しました。これは、SXFを用いて電子納品をおこなう、または受け取るユーザを対象としたものです。平成16年7月に第1回検定試験を行い、平成18年7月には第3回目を行う予定です。
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