完成平面図作成支援オプション
「道路工事完成図等作成要領」に対応したCADオプションです。
1. はじめに
国土交通省国土技術政策総合研究所より「道路工事完成図 (注1) 等作成要領(第2版)」(以下要領)が発表されています。 この要領は、道路の維持管理に必要な情報(道路基盤地図情報 (注2))を工事実施段階で作成する事により、維持管理段階での情報利活用の利便性を向上させる事を目的に策定されたものです。(要領等については「 道路工事完成図等作成支援サイト」を参照してください)
また、GISとの親和性を考慮し、データ形式にはSXF Ver.3.xを採用し、「道路基盤地図情報交換属性セット(案)第1.1版」を策定しています。
弊社ではこの要領に準じた「道路基盤地図情報交換属性セット(案)」対応の製品を開発し、平成17年度(2005年度)に実施された試行運用にも参加しています。
- (注1)道路工事完成図:「道路工事完成図等作成要領」に基づき作成する、道路基盤地図情報に変換可能なCADデータ。
- (注2)道路基盤地図情報:道路行政で用いる空間データのうち、車両や歩行者への各種サービスを実現する上で必要となる共用性の高いデータ(共通基盤)で、地理情報標準第2 版(JSGI2.0)*の実用版といえる地理情報標準プロファイル(JPGIS)に準拠し作成されたもの。
*平成14年(2002年)地理情報標準推進委員会(国土交通省国土地理院)作成
2. 道路工事完成図作成の流れ
3. 道路基盤地図情報について
・使用する図形データ
完成平面図を作図する際に用いる図形は「点」「線分・折線」「円弧」「面(ハッチン
グ)」「クロソイド」となっています。
・属性セット
図形に付与する属性の一部をご紹介します。
図形データ | 地物項目 |
作図するレイヤ |
付与する属性 |
---|---|---|---|
点 |
距離標 | C-BMK-BMKZ-KMPOST | GIS_ID, 設置日, 路線番号, 現旧区分, 上下区分, 距離程, 緯度, 経度等 |
測点 | C-BMK-BMKZ-STATION |
GIS_ID, 設置日,測点番号,追加距離,高さ,横断勾配(右),横断勾配(左) | |
折線・円弧 | 道路中心線 | C-BMK | GIS_ID、設置日 |
管理区境界 | C-BMK-BMKZ-BOUNDARY | ||
停止線 | C-STR-STRZ-STOPLINE | ||
面(ハッチング) | 車道部 | C-STR-STRZ-ROADWAY | GIS_ID、設置日 |
車道交差部 | C-STR-STRZ-CROSSING | ||
島 | C-STR-STRZ-ISLAND | ||
歩道部 | C-STR-STRZ-SIDEWALK |
属性を付与する地物項目は更に下記のものがあります。
【折線・円弧】区画線、斜面対策工
【面】踏切道、軌道敷、路面電車停留所、自転車駐車場、自動車駐車場、植栽、橋梁、
トンネル、盛土法面、切土法面、擁壁、横断歩道、横断歩道橋、地下横断歩道、
ボックスカルバート、建築物、橋脚、斜面対策工、シェッド、シェルター
4.作図する上での注意点
・楕円弧、スプライン曲線は折線に変換します。
(SXF ver.3.0の場合にはクロソイドも折線に変換します。)
・線分は連続した折線とし、自己交差をしてはいけません。
・面はハッチングで作図、枠線は折線・円弧で作図します。また、隣接した面は接合
箇所を一致させます。
・完成縦断図
要領では、完成縦断図の作成も求められています。
5. 作図手順及び注意点
・座標設定
納品図面は平面直角座標系(19座標系)に設定します。
・距離標の場合
作図レイヤを“C-BMK-BMKZ-KMPOST"とし、点を作図し、属性を付与します。
配置した点に緯度・経度を付与します。
・道路中心線の場合
作図レイヤを“C-BMK"とし、線分・折線・円弧・クロソイドを作図し、属性を付与しま
す。作図の際、自己交差に注意します。
・車道面の場合
作図レイヤを“C-STR-STRZ-ROADWAY"とし、折線・円弧で工事領域を作図します。
その中を面(ハッチング)に定義し、属性を付与します。枠線は隣接した面を一致させ、
自己交差をしないよう作図します。
・その他
スプラインの曲線は折線に変換しなければなりません。
このように作図と属性付与作業は煩雑です。
6. 完成平面図作成支援オプションについて
弊社ではこの煩雑な作図及び属性付与作業を容易にする「完成平面図作成支援オプション」を用意しております。 また、作図した図面が要領の仕様に適しているかチェックし、修正も行えます。
【機能の概要】
・完成図面の読込
「完成平面図作成支援オプション」は、SXF (sfc・p21)の他、DXF・DWG、JWC・
JWW、ラスターデータを直接読み込み可能
・作図設定、属性付与
あらかじめ設置日、平面直角座標系を設定することで、属性・座標の設定が容易
またテンプレートを使用することで、図形データは自動的に所定のレイヤに作図可能
・完成縦断図の作成
完成縦断図を作成することも可能
完成平面図の測点情報を抽出し、完成縦断図の作成情報に反映することが可能
既存完成縦断図の場合は、その情報を抽出し完成平面図の測点の属性情報に反映する
ことも可能
出来上がりの完成平面図と完成縦断図の整合チェックをすることで入力ミスを防止
・自己交差の禁止
自己交差する折線を描いた場合、エラーメッセージを表示
・折線結合
連続した直線、折線を1本の折線に結合
ラスター→ベクター変換して短い線が多い図面に利用可能
・面データ
連続線(連続線の頂点をサーチ)、ワンタッチ塗り(閉図形を認識し塗図形を作図)等の
操作により、簡単に面データが作成可能
・折れ線編集(曲線を折れ線に一括分解)
図面に描かれている楕円弧・スプライン・クロソイド曲線等を折線に分解
・完成平面図チェック
要領に基づいたデータが作成されているかチェックし、自動修正も可能
・データ検査結果の図形検索
データ検査であがったエラーの図形を特定し、図形識別番号、図形の検索表示の表示が
可能
・出力
SXF Ver.3.x (sfc・p21)にて出力可能
Ver.3.xでは図面ファイル(sfc・p21)と属性ファイル(拡張子saf、中身はXML)の2つを
作成
・その他
データの整合、属性のチェックと修正を用意
さらにBigvan al-Nil CADオプションの追加によって、レイヤを頻繁に切替変えながらの
操作時に、一時的に必要レイヤを「ON」にして、作成編集後に元のレイヤ状態にワン
クリックで戻る機能や、面・折線などの編集が可能な多彩なCADシステムを実現